フィルムカメラの選び方④ 自動露出
- 2018.07.12
- フィルム写真

注意
特にマニュアルフォーカス一眼レフ
極めて初期段階のフィルム一眼レフの中には、自動露出機能がないものがあります。カメラの自動化の歴史の中では、いち早く自動化が実現した機能ですが、自動露出機能がないと、露出の決定は撮影者自身で行う必要があります。そうなると、何を基準に露出を決めていけばよいのか、ということになりますが、自動露出機能のない時代は、いろんな露出の出し方がありましたが、カメラマンが経験と勘によって露出を決めていたのです。
おおよそのことがフィルムのパッケージ等に書いてありました。それを基に、「今日の天気なら、絞りはf5.6でシャッタースピードは1/250くらいかな?」みたいな感じです。なんともざっくりした露出の決定法なんですが、アマチュアカメラマンの場合はこんなものでした。使うフィルムがカラーネガの場合、こんなざっくりした露出決定でもそれなりに写っていました。
それなりに撮れているのなら、自動露出なんか必要ないのでは?ということになりますが、光が十分な日中ならざっくりでも良かったのですが、いつも晴天の日中に撮影している訳ではありません。曇りの日や室内では露出計なしで適正露出を得ることは難しいのです。条件が悪いと失敗する確率も大きくなります。
測光方式
そこで、誰でも簡単に露出を決定できるように開発されたのが自動露出機能を内蔵した一眼レフカメラです。自動露出機能は戦前から色々と改良されてきましたが、今、中古カメラを購入するのであれば、レンズを通した光を測って、絞りやシャッタースピードと連動する、自動露出機能を持ったカメラであることが必須条件です。(TTL式と言う Through The Lensの頭文字をとっている)購入に際して安いという理由だけで、TTL式露出計がついていないカメラを選ぶことはあまりお勧めできません。初心者がTTL式自動露出計のないカメラで撮ると、写真の出来にばらつきが大きくなります。安定した出来を期待するならば、TTL式自動露出機能は外せません。
露出の決定に際して、基準となる値を示してくれる自動露出は、カメラの機能として、オートフォーカスやフィルムの自動巻き上げよりずっと優先順位は高いと考えられます。ですのでTTL自動露出機能はカメラにとって外せない機能です。ですので、実用機として考えるのなら、どんなに古くても1970年代以降に生産された機種を選ぶことをお薦めします。
オートフォーカス一眼
あたりまえ
オートフォーカス一眼の時代になるとTTL式露出計内蔵はもはや当たり前で、さらなる精度の向上が図られていくことになります。それが現在のデジタル一眼の時代になっても続いています。
未完成
実はこのTTL自動露出と言う機能は、もはや改良の余地はない、という所まで来ていません。TTL方式の露出計を装備したカメラが出来たのが1963年ということですから、それから50年以上経っても、今だ完成していないということです。
その理由は、カメラが「正解」とした露出値でも、撮影者が考える「正解」とは必ずしも一致しないからです。撮影者の意志をカメラに100%反映させることは今もって困難なのです。(この件は後に別の記事で)
しかし将来的には、撮影者の意識、好み、クセなどを理解するAIを搭載したカメラが出てくるかもしれません。理想を100%反映した露出をはじき出してくれるのに留まらず、何もかもお任せで、シャッターを切ったらいいだけのカメラになるかもしれません。そうなったらコンパクトカメラとそう違いはありません。コンパクトカメラよりいい写真が撮れるかもしれませんが、「写真を撮る楽しみ」を奪われてしまうことになります。いろんな失敗を重ねて、上手になっていくことがカメラの楽しみの一つなので、もしAI搭載のカメラが出来たら欲しいとは思いますが、この楽しみを奪われてしまうかもしれません。
要約
マニュアルフォーカス一眼でもTTL露出計搭載は必須
理想の露出計は今だ未完成
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